RLSA(検索広告向けリマーケティング)とは?

RLSAとは、「検索広告向けリマーケティング(Remarketing Lists for Search Ads)」の略称です。自社のウェブサイトに一度でも訪問したことがあるユーザーに対して、検索結果画面に表示されるリスティング広告をパーソナライズドして配信する機能のことです。
通常のリスティング広告は、検索キーワードに基づいて誰にでも広告が表示される可能性があります。しかしRLSAを使えば、過去に自社ブランドへ興味を示してくれた「見込み客」に絞ってアプローチできるため、より効率的な広告運用が可能になります。
通常のリスティング広告との違い

通常のリスティング広告 | RLSA(検索広告向けリマーケティング) | |
---|---|---|
広告の表示対象 | 特定のキーワードで検索した全てのユーザー | 自社サイトなどを訪問したことのあるユーザー |
主な目的 | 広く見込み顧客を獲得する | 質の高い見込み顧客に高い再アプローチし、コンバージョンを促進する |
アプローチ方法 | キーワードのマッチタイプで利用 | ユーザーリストとキーワードを組み合わせて利用 |
RLSAはリスティング広告の一種類です。その中でRLSAは、「誰に広告を表示するか」という点に特化した機能です。
このように、通常のリスティング広告が「誰でもいいから広くキーワードに反応する人」にアプローチするのに対し、RLSAは「すでに自社のビジネスに何らかの興味を示した人」にピンポイントでアプローチできる点が最大の違いです。
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RLSAの仕組み
RLSAの仕組みは非常にシンプルです。
- ユーザーが自社のウェブサイトを訪れると、リマーケティングタグによってユーザーのCookie情報が収集されます。
- 収集されたCookie情報に基づいて、事前に設定した条件(例:特定ページを閲覧したユーザー、カートに商品を入れたユーザーなど)に合致するユーザーが「ユーザーリスト」に自動で登録されます。
- ユーザーリストに登録されたユーザーがGoogleやYahoo!などの検索エンジンでキーワードを検索します。
- この際、RLSAを設定していると、そのユーザーの過去の行動履歴に合わせて入札単価を調整したり、よりユーザーのニーズに合わせた広告文を表示させたりすることが可能になります。
RLSAが利用できる主要な広告媒体
RLSAは主要なリスティング広告媒体で利用できます。ここではGoogle広告とYahoo!広告の2種類をご紹介します。
Google広告
自社のサイトやアプリを利用したことのあるユーザーに対し、パーソナライズドされた広告が表示されます。また、入札単価も自動的に調節されます。例えば過去30日間に自社のサイト訪問歴のあるユーザーには、入札単価を引き上げ広告の表示機会を増やすなどです。
引用:検索広告向けデータ セグメントについて - Google 広告 ヘルプ
Yahoo!広告
Yahoo!広告ではサイトリターゲティングという名称です。サイトリターゲティング機能を利用すると、過去の自社のサイトを訪問したことがあるユーザーに対し、リスティング広告を配信するもしくは配信を停止する設定をすることができます。
引用:サイトリターゲティングとは【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
RLSAが活用できるビジネスシーン
RLSAは、単に再訪ユーザーに広告を表示するだけでなく、様々な状況で広告効果を最大化するための強力なツールとなります。ここでは、RLSAが効果を発揮する具体的な利用シーンを見ていきましょう。
1. 検討期間が長い商品・サービス
不動産、自動車、高額なBtoBサービスなど、ユーザーが比較検討に時間をかける場合、RLSAで継続的にアプローチすることで検討の後押しができます。
2. リピート購入が見込める商材
健康食品、化粧品、日用品など、一度購入したユーザーが繰り返し購入する可能性が高い場合、RLSAで再購入を促すことができます。
3. 情報収集段階のユーザーが多い商材
専門性の高い情報や、複数の選択肢がある商品の場合、ユーザーはすぐにコンバージョンに至らず、情報収集段階を経る場合が多数です。一度サイトを訪れて情報収集したユーザーに、より詳しい情報や限定オファーを提示できます。
4. ユーザーについてのデータ量が多い場合
RLSAを配信するためには、ユーザーリストに一定量以上のデータ数が含まれていることが必須条件です。例えばGoogle広告の場合、過去30日間のアクティブユーザー数が1,000人以上であることが必要です。まだビジネスを始めたばかりの場合などデータ量が少ない場合は、配信できない可能性があるので注意してください。
引用:データ セグメントの仕組み - Google 広告 ヘルプ
RLSAのメリット・デメリット
RLSAを導入することで得られるメリット・デメリットは以下の通りです。
RLSAのメリット
- ビックキーワードでも勝負できる
- 再訪問ユーザーへのアプローチができる
- 見込み顧客へ効率よく広告を配信できる
- 限られた予算でも効果アップが狙える
- 広告クリエイティブやランディングページをパーソナライズできる
1. ビッグキーワードでも勝負できる
競合が多い「ビッグキーワード」は、入札単価が高騰しやすく、中小企業にとってはなかなか手が出しにくい領域です。しかし、RLSAを活用すれば、ビッグキーワードでも費用対効果を高めて勝負することが可能です。
例えば、「ダイエットサプリ」のようなビッグキーワードで広告を出す場合、通常は多くの競合がひしめき合い、高いクリック単価を強いられます。しかし、過去に自社のサイトで「ダイエットサプリ」関連の記事を読んだり、商品ページを閲覧したりしたユーザーに対してのみ、入札単価を引き上げて広告を表示するとどうでしょうか。すでに興味を持っているユーザーに絞って広告を配信することができるため、クリック率やコンバージョン率が高くなる傾向があり、結果として費用対効果を改善できる可能性が高まります。
2. 再訪問ユーザーへのアプローチができる
RLSAの最大の強みは、一度自社のサイトを訪れた「再訪問ユーザー」への効果的なアプローチです。彼らはすでに自社のビジネスや商品・サービスに何らかの関心を持っています。
例えば、
- カートに商品を入れたまま離脱してしまったユーザー
- 特定のサービスページを閲覧したが、問い合わせに至らなかったユーザー
- 過去に商品を購入したことがあるリピーター
このようなユーザーは、初めて自社のサイトを訪れたユーザーと比較してコンバージョンに至る可能性が非常に高いです。RLSAを使えば、彼らが再度関連キーワードを検索した際に、特別な広告文で再度アプローチしたり、入札単価を引き上げて上位表示を狙ったりすることで、コンバージョンを促進できます。
3. 見込み顧客へ効率よく広告を配信できる
RLSAの最大のメリットは、見込み客に対して集中的に広告を配信できる点です。自社のサイトを訪れたユーザーは、すでに自社のビジネスに興味を持っています。例えば、
- カートに商品を入れたまま離脱してしまったユーザー
- 特定のサービスページを閲覧したが、問い合わせに至らなかったユーザー
- 過去に商品を購入したことがあるリピーター
このようなユーザーなどです。これらのユーザーが関連キーワードを検索した際に広告を表示することで、無駄な広告費を削減し、費用対効果の高い広告運用を実現できます。通常のリスティング広告では、漠然とキーワードに反応する層にアプローチするのに対し、RLSAは「質の高い見込み客」に焦点を当てるため、コンバージョンに繋がりやすいクリックを獲得できる可能性が高まります。
4. 限られた予算でも効果アップが狙える
「広告予算が限られているから、リスティング広告に手を出しにくい…」そうお悩みの方もいるかもしれません。しかし、RLSAは少ない予算でも高い効果を期待できる可能性があります。
RLSAは、すでに興味を持っているユーザーに絞って広告を配信するため、無駄なクリックを減らし、コンバージョン率の向上が期待できます。結果として、クリック単価(CPC)が高くても、1件あたりのコンバージョン獲得単価(CPA)を抑えられる場合があります。限られた予算の中で最大限の成果を出したい場合に、RLSAは非常に有効な戦略となります。
5. 広告クリエイティブやランディングページをパーソナライズできる
RLSAでは、ユーザーリストの種類に応じて、広告の訴求内容やリンク先のランディングページ(ランディングページ)をパーソナライズできるという強みがあります。
例えば、
- カート放棄ユーザー:カートに残された商品に関する特別な割引を提示する広告文や、カートページへ直接リンクするランディングページを表示。
- 特定の商品ページを閲覧したユーザー:その商品に関するより詳細な情報や、類似商品の紹介、レビューなどを掲載したランディングページに誘導。
- 過去に購入履歴があるユーザー:新商品の案内や、リピーター限定のキャンペーンを訴求する広告文、専用のランディングページを表示。
このように、ユーザーの行動履歴や興味関心に合わせて広告クリエイティブやランディングページを最適化することで、ユーザーのニーズに深く響き、コンバージョン率をさらに高めることが可能です。
RLSAのデメリット
- 一定規模以上のデータ量が必要
1.一定規模以上のデータ量が必要
先述の通り、RLSAの配信には一定以上のデータ量が必要です。まだビジネスを始めたばかりの場合など、データ量が少ない場合は配信できない可能性があるため、注意してください。
どんなユーザーをターゲットにできる?
RLSAで活用できるユーザーリストは多岐にわたります。自社のビジネスに最適なリストを作成し、効果的なターゲット設定を行いましょう。
【Google広告/Yahoo!広告】利用できるユーザーリスト
Google広告とYahoo!広告で利用できる代表的なユーザーリストの例を以下に示します。
Google広告
Google広告は、データセグメント(ユーザーリスト)として以下の種類が利用できます。
- ウェブサイトを訪れたユーザー:特定のページを訪れたユーザー、特定の期間内に訪れたユーザーなど、基本的なリスト。
- アプリユーザー:自社のアプリをダウンロード・利用したユーザー。
- YouTubeユーザー:自社のYouTubeチャンネルを購読しているユーザーや、動画を視聴したユーザー。
- 顧客リスト(カスタマーマッチ):自社が保有する顧客のメールアドレスや電話番号などの情報を使って作成するリスト。オフラインでの顧客データも活用可能。
- Googleアナリティクス:Google広告とGoogleアナリティクスを接続すると、ディメンション、指標、イベントなどを自由に組み合わせて作成したリストに基づき、リスティング広告を配信することが可能になる。(例: in_app_purchase events イベントを発生させた Android ユーザー)
- リードフォームセグメント:Google広告でリードフォームを送信したことのあるユーザーに広告を表示する。
- カスタム組み合わせリスト: 複数のリストや条件を組み合わせて作成するリスト。
引用:
[GA4] Google アナリティクスのデータを使ったリマーケティングを有効にする - アナリティクス ヘルプ
Yahoo!広告(サーチターゲティング、サイトリターゲティング)
- ターゲットリスト:特定のページを訪れたユーザーや、サイト全体の訪問者。
引用:ターゲットリストとは【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
これらのリストを単体で使うだけでなく、複数組み合わせて「特定の商品ページを訪れたが購入には至らなかったユーザー」のように、より精度の高いターゲットを作成することも可能です。
リスト作成のポイントと注意点
効果的なユーザーリストを作成するためには、いくつかのポイントと注意点があります。
1. リストサイズ(最低ユーザー数)
広告配信を開始するためには、一定以上のユーザーデータ量が必要です。Google広告では通常アクティブユーザーが1,000人以上、Yahoo!広告でも1,000件以上が推奨されています。リストサイズが小さいと、広告が表示されない可能性があります。
引用:
サイトリターゲティングとは【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
2.リストの保持期間
ユーザーリストにユーザーを保持する期間を設定できます(例:30日、960日など)ので、商品やサービスの検討期間に合わせて適切に設定しましょう。一般的に、検討期間が長い商材ほど、保持期間を長く設定する傾向があります。
3,リストのセグメント化
RLSAの運用に慣れてきたら、「全サイト訪問者」のような大きなリストだけでなく、「特定の商品ページ訪問者」「カートに商品を追加したユーザー」「購入完了ユーザー」など、ユーザーの行動フェーズに応じた細かなリストを作成してみましょう。これにより、ユーザーごとに最適なメッセージを配信できます。
4.リストを最新の状態を保つ
定期的にリストの状況を確認し、必要に応じて設定を調整しましょう。
【Google広告/Yahoo!広告】RLSAの設定手順を画像付きで解説
ここからは、実際にRLSAを設定する手順を、Google広告とYahoo!広告に分けて解説します。
Google広告での設定方法
1. リマーケティングタグの設置
タグとは:タグとは、ツールに情報を送信するための信号です。例えば動的リマーケティングでは、自社サイトに訪れたユーザーの行動に関する情報を収集し、広告プラットフォーム(Google広告)に送信する役割を担っています。
1.Google 広告の管理画面で 「ツール」 アイコン をクリック。

2.項目メニューで 「共有ライブラリ」 →「オーディエンス マネージャー」をクリック。

3.左側のページメニューで 「データソース」をクリック。

4.「Google 広告タグ」カードで 「タグを設定」 をクリック。
すでに Google タグを設定している場合は、縦三列アイコン →「ソースを編集」 の順にクリックすると、タグを編集できます。

5.「お客様のウェブサイトでユーザーが行った特定の操作に関するデータを収集して、パーソナライズド広告を表示します。」 を選択。

6.商品やサービスに該当する業種を選択。選択した業種によって、動的リマーケティングのタグ設定のパラメータが決まる。


7.「作成して続行」または「保存して次へ」 をクリック。
8.「タグを設定する」パネルが表示される。
「タグを自分で追加する」をクリックすると、ウェブサイトの挿入するためのタグのコードが表示されます。コードをコピーして、サイトの<head>タグと</head>タグの間に貼り付けます。今回は、GTM(Googleタグマネージャー)を用いてタグを追加する方法を解説します。
参考:動的リマーケティング用のタグをサイトに追加する - Google 広告 ヘルプ
2. Googleタグマネージャー(GTM)でリマーケティングタグを作成
Googleタグマネージャー(GTM)とは:GTM(Googleタグマネージャー)は、Googleが無償で提供する、ウェブサイト上のタグを一箇所で管理できる便利なツールです。このツールを活用することで、HTMLを直接編集することなくタグを追加することができるようになります。
【詳しくはこちら】【入門編】GTM(Google タグマネージャー)とは?使い方・用語・設定・GA4連携などを解説!
1.「Googleタグ マネージャーを使用する] を選択。

2.「コンバージョンID」をコピーする。

3.GTMで、「新しいタグ」→「新しいタグを追加」をクリック

4.「タグの設定」→「Google広告」→「Google広告のリマーケティング」を選択



5.先ほどコピーしたGoogle 広告コンバージョンIDを入力。必要に応じてコンバージョン ラベルも入力。

6.「トリガー」をクリックし、タグをいつ配信するかを指定。たとえば、ウェブサイトのどのページにもリマーケティングタグを追加する場合は、すべてのページで配信するトリガーを選択。


7.「保存」をクリックして、タグの設定を完了。
※コンバージョン リンカーが有効になっていることを確認してください。

8.GTMのプレビューモードで確認し、準備ができたらタグを公開。
3. オーディエンスリストの作成
1.Google広告管理画面の「ツールと設定」→「共有ライブラリ」→「オーディエンスマネージャー」に進む。


2.「+」マークで新しいオーディエンスを作成し、作成したいリストの種類を選択する。※今回はウェブサイトの訪問者


3.リストに含めるユーザーの条件を設定する。

4.設定が済んだら保存する。
①既存キャンペーンへの紐付け
既存の検索キャンペーンにRLSAを適用する場合は、「キャンペーン」→「オーディエンス」セクションへ移動。

オーディエンスセグメントの編集をクリック。

オーディエンスセグメントを編集する単位→キャンペーン・広告グループを選択。


先ほど作成したリストを選択する。

②新規キャンペーンへの紐付け
新しいキャンペーンを作成する場合は、キャンペーン作成時に「オーディエンス」セクションで作成済みのリストを選択。
Yahoo!広告での設定方法
Yahoo!広告でのサイトリターゲティングの基本的な設定の流れはGoogle広告とほぼ同じです。
1.サイトリターゲティングタグの取得
広告管理画面右上の「ツール」→ライブラリー内の「ターゲットリスト」をクリックします。
「サイトリターゲティング利用時の遵守事項」の内容を確認した上で、「同意する」にチェックを入れ「サイトリターゲティングタグの取得」ボタンを押します。
「タグ・IDを表示」ボタン→「タグをクリップボードにコピー」をクリックし、表示されているサイトリターゲティング用タグをコピーします。
引用:サイトリターゲティング用タグの取得とサイトへの設置【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
2.サイトリターゲティングタグの設置
Yahoo!広告管理画面でサイトリターゲティングタグを発行し、自社のウェブサイトの全ページに設置します。
3.ターゲットリストの作成
Yahoo!広告管理画面の「ツール」→「ターゲットリスト」へ進みます。 「ターゲットリストを作成」をクリックし、リスト名やリストの条件(例:特定URLの訪問者、特定のタグを通過したユーザーなど)を設定します。保持期間やリストの自動更新設定なども行います。
引用:ターゲットリストの作成【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
4.キャンペーン・広告グループへの紐付け
既存のキャンペーンや広告グループにターゲットリストを紐付けるか、新規作成時に設定します。
左サイドメニューの「ターゲットリスト」→「キャンペーン」「広告グループ」タブのいずれかをクリックします。
「編集」ボタンを→ターゲットリストを関連付けるキャンペーンまたは広告グループにチェックを入れて、「決定して進む」ボタンを押します。複数のキャンペーン(広告グループ)にチェックを入れられます。
「ターゲットリストを指定して配信」を選択します。ターゲットリストの一覧から設定するリストで「配信」または「除外」を選びます。選択したリストは右欄に表示されます。「設定」ボタンを押します。
引用:
サイトリターゲティングとは【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
ターゲットリストの関連付け【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
【Google広告】モニタリングとターゲティングの違い
RLSAを設定する際に、Google広告では「ターゲティング」と「モニタリング」という2つの選択肢があります。ここでは2つの違いを解説します。
ターゲティング(Targeting)
選択したオーディエンスリストに含まれるユーザー「のみ」に広告を配信する方法です。 例えば、「過去に購入履歴があるユーザー」というリストを「ターゲティング」で設定した場合、そのリストに含まれるユーザーがキーワードを検索した時だけ広告が表示されます。
- メリット:無駄な広告表示を減らし、費用対効果を高めやすい。
- デメリット:配信ボリュームが絞られるため、獲得件数が伸び悩む可能性がある。
モニタリング(Observation)
選択したオーディエンスリストに含まれるかどうかに関わらず、通常のリスティング広告と同様に広告を配信します。その上で、リストに含まれるユーザーのパフォーマンスを「監視(モニタリング)」します。 例えば、「全サイト訪問者」というリストを「モニタリング」で設定した場合、サイト訪問者以外にも広告は表示されますが、サイト訪問者がクリックした広告のパフォーマンスデータ(クリック率、コンバージョン率など)を個別に確認できます。
- メリット:配信ボリュームを維持しつつ、特定のユーザー層のパフォーマンスを把握できる。
- デメリット:ターゲティングと比較して、広告費用が無駄になる可能性が残る。
使い分けのポイント
- 費用対効果を最優先し、特定の質の高いユーザーに絞って広告を配信したい場合:ターゲティング
- 配信ボリュームを維持しつつ、特定のユーザー層の傾向を把握し、将来的なターゲティングのヒントを得たい場合:モニタリング
引用:「ターゲティング」と「モニタリング」設定について - Google 広告 ヘルプ
RLSAで効果を出すためのポイント&注意点
RLSAは強力な広告手段ですが、配信には注意点もあります。ここでは、RLSAを最大限に活用するためのコツと注意点をご紹介します。
1. リストサイズが小さいと配信できない可能性がある
前述の通り、RLSAは最低限のリストサイズが必要です。例えばGoogle広告では1,000人以上、Yahoo!広告では100人以上が推奨されています。この数を下回ると、広告がほとんど配信されなかったり、全く表示されなかったりする可能性があります。
まずは「全サイト訪問者」など、広めのリストから作成し、リストサイズを確保しましょう。アクセス数が少ないサイトの場合は、保持期間を長く設定してリストの蓄積を進める方法もあります。またGoogleアナリティクスと連携することで、より多くのユーザーデータを活用できる場合があります。
2. ターゲティングしすぎは逆効果
RLSAではユーザーリストを細かくセグメントできますが、絞り込みすぎると配信ボリュームが極端に減少し、機会損失に繋がる可能性があります。
例えば「特定の商品ページを3回以上訪問し、かつカートに商品を入れたが購入しなかったユーザー」のように、あまりにも条件を厳しく設定しすぎると、リストサイズが小さくなりすぎて広告が表示されなくなることがあります。配信ボリュームとコンバージョン率のバランスを見ながら、適切なリストサイズを維持するようにしましょう。また定期的にABテストを実施し、どの程度の絞り込みが最適か検証することも重要です。
【詳しくはこちら】【事例あり】広告のABテスト完全ガイド!効果的な手順から活用法まで徹底解説
3. 入札戦略や広告クリエイティブを最適化する
RLSAは、通常のリスティング広告と同様に入札戦略や広告クリエイティブを最適化することで、さらにその効果を高めることができます。ここでは、入札戦略や広告クリエイティブの改善ポイントをご紹介します。
入札戦略の改善ポイント
- 入札単価調整: 購買意欲が高いと想定されるユーザーリスト(例:カート放棄ユーザー)に対しては、積極的に入札単価を引き上げて上位表示を狙いましょう。
- スマート自動入札との組み合わせ:Google広告のスマート自動入札(コンバージョン値の最大化、目標CPAなど)は、配信状況に合わせて自動的に入札単価を調整する機能です。RLSAと組み合わせることで、成果を出している広告に予算を配分し、さらに費用対効果を改善することができます。
【詳しくはこちら】
【最新版】Google広告|入札戦略一覧!おすすめの入札戦略や設定方法を紹介
【Google広告】自動入札で広告運用を最適化しよう!全6種類とメリット・デメリットを解説
広告文の改善ポイント
- 再訪ユーザーへの呼びかけ:「検討中の商品はこちら」など、再訪を意識させるメッセージを入れることで、クリックを促すことができます。
- 限定オファーや特典の提示:「期間限定で〇〇%オフ!」「今だけ送料無料」など、再訪問ユーザー限定の特別なオファーを提示することで、購買意欲を促進することができます。
- ランディングページとの一貫性をもたせる:広告文で訴求した内容と、リンク先のランディングページの内容に一貫性があるようにすることで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率を高めます。
【詳しくはこちら】【CTR改善】成果を出す広告クリエイティブとは?制作の8ステップや成功事例を解説
4. クロスデバイス対応をする
現代のユーザーは、複数の端末を利用していることも珍しくありません。例えばスマートフォンで情報収集し、後日PCで商品の購入に至るなどです。広告媒体によってはクロスデバイス配信・分析に対応しているものもあります。例えばGoogle広告では、Googleシグナルを有効にすると、Googleアナリティクスにクロスデバイスコンバージョンデータが収集されます。このデータをGoogle広告にエキスポートすることで、自動入札に使用することができます。広告媒体の機能を利用し、クロスデバイス対応を進めましょう。
引用:クロスデバイス コンバージョンを Google 広告にエクスポートする - アナリティクス ヘルプ
5. フリークエンシーを適切な回数に設定する
リマーケティング広告を配信する上で、フリークエンシーは重要な指標です。フリクエンシーは広告が特定のユーザーに表示された回数を意味します。フリークエンシーが高すぎてもユーザーに嫌悪感を与えてしまますし、低すぎても自社サービスを認知してもらえません。適切なフリークエンシー回数については以下の記事で解説しております。
【詳しくはこちら】フリークエンシーとは│適切な回数やリーチとの違い、設定方法を解説
6. カスタムリストを作成しセグメント化する
RLSAの配信である程度ユーザーデータが蓄積されてきたら、デフォルトのリストを組み合わせ、よりターゲティングを絞り込んだカスタムリストを作成しましょう。例えば「ウェブサイトを訪れたユーザー」かつ「カートに商品を追加したユーザー」でセグメント化することで、かなり購買意欲の高いユーザーにアプローチすることができます。この際、データ量が少なくなりすぎなように注意です。
広告運用でお悩みの場合は広告代理店への依頼がおすすめ!メリットを解説
ここではRLSAの概要や設定方法を解説しました。しかし、広告運用担当者様の中には「改善をしているのに、なかなか結果が出ない…」「改善までのリソースやナレッジが不足している…」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのようなお悩みを持つ方は広告代理店への依頼がおすすめです!ここでは実際にfree web hopeが広告運用のご支援を行い、CPA60%改善の実績が得られた事例をご紹介します。
二人三脚でCPA60%改善・CV数3倍伸長を実現!じげん・結婚相談所比較チームに起こった変化とは?
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ライフイベント領域における最良な意思決定をサポートするインターネットメディアを運営する株式会社じげん。同社パートナーソリューションdivisionでは、婚活をしているユーザー様と結婚相談所様のマッチングを促進する「結婚相談所比較ネット」をはじめ、フランチャイズ比較.net、家庭教師比較くらべーる、留学くらべーるといったメディアを運営していらっしゃいます。
本divisionで事業戦略の策定・マーケティングマネジメントを担当しプロジェクトマネージャーを務める渡邊昭太様、サイトリニューアル時のディレクションやLINE等のPUSH型のマーケティング施策の施策実行を担う市川響子様、そして本プロジェクトにおいて広告設計を担当したfree web hopeの林健一、広告運用を担当した谷口佳奈美を交えて、お取り組みを振り返りました。
抱えていた問題
- 既存媒体のCPA改善
- 既存媒体の依存
- 事業の理解を踏まえたクリエイティ制作
- 運用広告におけるナレッジの蓄積/育成
free web hopeが行ったこと
- 広告運用戦略の策定
- 広告運用実行支援
- ランディングページ制作
- LPにおけるABテスト設計/実行
- Google Analytics分析
得られた成果
- CPA 60%改善
- CV数が 3倍程度になった
- 社内で個人/チームの表彰
ご相談当時の課題を教えてください。
渡邊様:
free web hope様へのご相談はベーシックから現在のじげんへ事業譲渡する、2年前に遡ります。当時は2つの課題がありました。
1つ目はユーザー集客チャネルの問題です。当時は多くを広告経由で集客していて他社の状況や広告出稿量の増減によってコンバージョン数も変化してしまうため、既存媒体の安定性向上と出稿媒体の多角化を行うことでリスクヘッジを行いたいと考えていました。
2つ目は、社内体制とリソースの問題です。当時は事業譲渡(*1)前で、社内で広告運用の知見はあれど**各事業の理解を踏まえた運用やクリエイティブの良し悪しを判断することがリソース的にも難しく感じていました。**これらの課題を解決するため、外部パートナーを選定することにしました。
- 1 :「結婚相談所比較ネット」をはじめとする4つの比較メディア事業は2020年12月~株式会社ベーシックからじげん株式会社へ事業譲渡
運用後、課題は解決されましたか?
渡邊様:はい、ご依頼して2~3か月でCPAが急降下しました。ご依頼当時と比較からすると現在はCPAは60%ほど下がり、CV数は3倍程度になりましたね。「運用次第で、結果がこんなにも違うのか!」と感動しました。
最適な広告文・クリエイティブの裏には徹底的な事前調査と効果検証にあり
市川様:私はリニューアル時のディレクションを担当したのですが、free web hope様からご提案いただいたものは、とても今風のデザインで分析していたユーザー層に響きそうでした。「結婚相談所比較ネット」の他社との違いがわかりやすいクリエイティブで嬉しかったです。
林:ありがとうございます。広告文やクリエイティブ作成前の事前調査はかなり力を入れて実施している点が弊社の特徴でもあります。具体的には、広告における配信するターゲットを決め、それに基づく広告設計を行い、作成することです。
今回、既存ユーザー様の分析、競合分析、市場調査を行ったのですが、当初想定と異なり、性別・男女・興味関心(結婚相談所・婚活サイト・マッチングアプリ)ごとにニーズが別であることがわかりました。これらのニーズごとにクリエイティブを作成して、ターゲットとの親和性を高めることを意識しました。
【詳しいインタビューはこちら】二人三脚でCPA60%改善・CV数3倍伸長を実現!じげん・結婚相談所比較チームに起こった変化とは?
まとめ|RLSAでリスティング広告の成果を高めよう!
RLSAは、自社のウェブサイトに一度でも訪れたことがあるユーザーに対し、リスティング広告を最適化して配信する非常に強力な広告手法です。ビッグキーワードでの競争力の向上、再訪問ユーザーへの効果的なアプローチ、そして高いコンバージョン率の実現など、様々なメリットがあります。まずは自社のビジネスに合ったユーザーリストを作成するところから始めてみてはいかがでしょうか。本記事が広告運用のお役に立てれば幸いです。
株式会社free web hope はCX(顧客体験)とデータサイエンスを広告戦略に組み込み事業成長を支援する広告代理店です。
長年の経験で積み上げた独自のフレームワークで、データサイエンスに基づく予測分析と市場調査を行い、「顕在層」だけでなく「準顕在層」にまで視野を広げ戦略的運用を提供しています。
広告運用でお悩みでしたらまずはfree web hopeに!公式HP、左下のボタンからお悩みをお聞かせください。
【free web hopeの広告運用支援実績はこちらから】free web hopeが手掛けた広告運用の支援実績を大公開!
監修者:古瀬純功
free web hopeの広告運用コンサルタントとして、広告運用支援やweb解析、ダッシュボード作成を担当:Xアカウント
【FAQ】RLSAについてよくある質問
Q1:RLSAを利用するために必要なものや条件は何ですか?
RLSAを利用するためには、リマーケティングリストと十分なリストサイズが必要です。
リマーケティング リスト
RLSAを配信するためには、配信先のユーザーのリスト(リマーケティングリスト)を作成する必要があります。これはGA4またはGoogle広告のタグをウェブサイトに設置することで作成できます。タグの設置方法は「【Google広告/Yahoo!広告】RLSAの設定手順を画像付きで解説」の章をご覧ください。
十分なリストサイズ
RLSAを配信するためには、リマーケティングリストが一定量以上あることが条件です。例えばGoogle広告では1,000人以上、Yahoo!広告では100人以上が推奨されています。この数を下回ると、広告がほとんど配信されなかったり、全く表示されなかったりする可能性があります。
Q2: RLSAと動的リマーケティングの違いは何ですか?
RLSA(検索広告向けリマーケティング リスト)はリスティング広告において、ウェブサイトに訪問したことがあるユーザーが後日検索を行った際に、カスタマイズされたリスティング広告を表示する機能です。例えばカート放棄ユーザーに対して、特別なオファーを掲載した広告を表示するなどです。
動的リマーケティング(動的リターゲテイング)は、主にディスプレイ広告において、ユーザーがウェブサイトで閲覧した特定の商品やサービスに基づいて、パーソナライズされた広告(画像広告や動画広告など)を表示する機能です。例えば、特定のブランドのランニングシューズを閲覧したユーザーに、その靴の画像や関連する商品の広告を配信するなどです。
両者はどちらもリマーケティングですが、広告の表示場所と形式が異なります。RLSAはリスティング広告の文脈で、動的リマーケティングはディスプレイ広告の文脈で用いられることが多いです。