ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、問題解決や目標達成のためにある事柄を要素ごとに分解し、ツリー状に整理するフレームワークです。複雑な問題も、ツリー状に分解することで原因や解決策が明確になります。広告運用においては、目標(kpi)を達成するために、広告運用の要素を分解し、改善策を検討する際に役立ちます。
ただ、注意していただきたいのはロジックツリーは広告運用におけるすべての事象や因果関係を説明できるわけではないということです。広告運用は様々な事象や外的要因が成果に複雑に絡み合います。ロジックツリーを用いて単純化することはできますが、決して正確ではないことに注意してください。
【KPIについて詳しくはこちら】
ロジックツリーの基本構造を理解しよう
ロジックツリーには、主に以下の3つの種類があります。
- Whatツリー:要素を分解し、構成要素を明確にする
- Whyツリー:原因を追究し、根本原因を特定する
- Howツリー:目標達成のための手段を洗い出す
リスティング広告の改善においては、これらのツリーを組み合わせて活用することで、より効果的な分析が可能です。
広告運用におけるロジックツリー活用法
リスティング広告の運用では、目標(kpi)達成のために様々な要素を分析し、改善策を検討する必要があります。ロジックツリーを活用することで、目標達成に必要な要素を可視化し、各要素の因果関係を明確にできます。これにより、改善すべき優先順位や具体的な施策が見えてきます。
まずは広告運用の全体像をロジックツリーで整理しよう
ロジックツリーで広告運用の改善を始める前に、まずは広告運用の全体像をロジックツリーで整理してみましょう。今回はリスティング広告の場合を考えてみます。
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ユーザーの行動経路としては以上の通りです。まず広告が表示され、広告がクリックされます。そしてLPに流入し、LP内でCVに至ります。ですので、広告運用の最終的な目標(kpi)は一部の場合を除きCVの獲得になります。ただ、広告運用には予算が定められています。予算をかければかけるほどCVは増えるかもしれませんが、それには限度があります。ですので、「予算内でCV数を最大化すること」、つまり目標CPA(顧客獲得単価)達成が広告運用のKPIになるのです。
広告運用のKPIをロジックツリーで細分化しよう

では、次に目標を細分化しましょう。まず広告運用の最終目標(KPI)として「予算内でのCV数の最大化(目標CPA達成)」があります。その目標を細分化すると、「広告運用費用を削減する」という目標と「CV数の増加」に分けられます。
この2つは密接な関係にあります。広告運用の予算をかければかけるほどCV数は増加しますが、予算はいくらでもかけられるというものでもありません。ですが、費用を大幅に削減してしまうと、もちろんそれに伴ってCV数も減少してしまいます。ですので設定予算の中でCV数を最大化できるように、両者のバランスをみつつ改善を進めましょう。
それでは、上記の図のKPIを細分化しましょう。
広告運用費用削減
広告運用費用は
広告運用費用=CPC(クリック単価)×クリック数
に分解できます。ここで分かるのは、CPCを抑制することはもちろんですが、CVに繋がらないクリックも削減することが重要だということです。クリックは表示回数(IMP)×クリック率(CTR)に細分化できるので、できる限り余分な表示回数を減らす、つまりターゲティング外のユーザーには広告を配信しないようにすることが費用削減に有効だとわかります。
CV数の増加
またCV数は
CV数=広告クリック数×CVR
に分解できます。ですので、広告のクリック数とLP内のCVRを増加させることが重要です。CVRは主にLPの改善が求められますが、一部広告運用の改善施策もCVRの改善に繋がります。
広告クリック数(CT)の増加
広告クリック数(CT)は
広告クリック数(CT)=表示回数(IMP)×クリック率(CTR)
に分解することができます。
よって、
広告費用削減=クリック単価の抑制(CPC)×CVに繋がらない広告表示の削減(IMP)×広告クリック率(CTR)
CV数の増加=広告表示回数の増加(IMP)×広告クリック率の改善(CTR)×LP内のCVR
以上のような式になります。
よって
- 広告費用削減のためにはCPC(クリック単価)を抑制しつつCVに繋がらない表示回数を削減
- CV数増加のためには広告表示回数を増加させつつクリック率の改善
が有効だとわかります。
広告運用を改善するための施策
それでは、表示回数(IMP)・CTR(クリック率)を増加させ、CPC(クリック単価)を抑制する施策としてはどのようなものが考えられるのでしょうか。ここでは、代表的な以下の6つの施策をご紹介します。
- 新しい広告媒体への出稿
- 検索順位上昇→予算増加、広告の品質改善、広告アセットの追加など
- ターゲティングの見直し
- 配信キーワードの見直し→除外キーワードの設定
- 広告クリエイティブの改善
- 入札戦略の見直し
ここでの注意点は、どの施策がCPC・IMP・CTRを改善するのか明確に分かれているわけではないということです。前章で述べたように、この3つは密接に関係しているので、「CPCを抑制する施策がIMPの増加にもつながっている」といった場合もあります。よって、これらの改善施策を総合的に実施することが重要です。
①新しい広告媒体への出稿
そもそもリスティング広告自体が集客に適していない可能性もあります。例えばターゲットユーザーが若者中心であれば、SNSを見る可能性が高いためSNS広告への出稿が有効であると考えられるます。しかし、広告媒体によっては競争が激しく、さらに広告費用が掛かってしまう場合も考えられます。ですので、予算や競合の状況を踏まえた上で広告媒体を選定しましょう。
②検索順位の上昇
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リスティング広告の場合、検索順位の改善をしなければそもそもユーザーに広告が届きません。それでは、検索順位を上げるためにはどのような施策をすればよいのでしょうか。今回はGoogle広告の場合を想定します。
Google広告では、広告の掲載順位は「広告ランク」という指標で決定します。そして広告ランクには、主に品質スコア、クリック単価(入札単価)、広告表示オプションが関連します。ここでわかるのは、Google検索広告は、もちろん入札単価を上げれば広告順位が上昇しますが、一方で広告の品質を高めることでも順位の改善ができるということです。よって、広告運用の費用対効果を高める上で、広告品質の改善はとても重要であるということです。
広告の品質(品質スコア)改善
それでは、具体的に広告の品質を高めるためにはどのような施策が有効でしょうか。Google広告の品質スコアには、推定クリック率(CTR)と広告の関連性、LPの利便性が影響します。
推定クリック率とはユーザーが広告をクリックする可能性の高さを指します。
その他には、広告の関連性が影響します。広告の関連性とはターゲットにしているキーワードと広告内容の関連性の高さを指します。よって、「配信キーワードに関連性のないものは含まれていないか」、「広告クリエイティブは配信キーワードとマッチしているか」などの見直しが有効です。
広告には直接関連しませんが、LPの質も品質スコアに影響します。ですので、LPの改善が実は広告運用の改善にもつながっていると言えます。
【品質スコアについて詳しくはこちら】
【Google広告ランク】改善には「品質スコア」が鍵!両者違いも解説
③ターゲティングの精度を向上させる
ターゲティングの精度向上は、広告の費用対効果をあげる上でとても重要です。なぜなら自社のビジネスに関係のない分野で広告を掲載されたとしても、そもそも広告がクリックされる可能性も低いですし、仮にクリックされサイトに流入したとしても、自社ビジネスに関心のあるユーザーではないので、CVの獲得に繋がりにくいからです。ターゲティングの精度を向上させるためには、まずはユーザーのペルソナ分析やニーズの見直しをする必要があります。
【ターゲティングについて詳しくはこちら】
【2024年最新】Google広告のターゲティング種類一覧と設定方法を徹底解説!
④配信キーワードの見直し
前項でも述べたように、広告と配信キーワードの関連性は広告の品質スコアに影響します。そもそも適切でない配信キーワード設定では上位に掲載される可能性も低くなってしまうのです。ユーザーニーズを再検討し、「ユーザーがどのような悩みを持っているのか」「どのようなワードで検索しているのか」を把握しましょう。また、競合のキーワード出稿状況を分析し、競合と同じキーワードに出向するのもよいですが、あえて競合が出稿していない、ニッチなニーズのあるキーワードに出稿するのも効果的です。一般的にはキーワードボリュームが100-500のロングテールキーワードを選ぶのが有効です。
キーワード調査には、Googleキーワードプランナーなどの専門的ツールを用いることもできますし、実際に検索のサジェストやSNSでの投稿を調査する方法もあります。
除外キーワードを設定する
広告の費用対効果を高めるためには、費用対効果が低いキーワードには配信しないようにすることが重要です。Google広告では「除外キーワード」を設定することができ、これによって特定のキーワードで検索しているユーザーには広告を表示しないようにすることができます。自社ビジネスに関心のないユーザーに広告が配信されることを防ぐことができます。
【除外キーワードについて詳しくはこちら】
わかりやすい!Google広告の除外キーワード設定方法や正しい選び方を徹底解説
⑤広告クリエイティブの改善
次に、広告クリエイティブの改善があります。「広告クリエイティブがユーザーニーズと一致しているか」、「競合との差別化ができているか」を調査しましょう。なお、以下の記事で広告クリエイティブ作成のためのヒントを解説しております。ぜひ参考にしてください。
【あわせて読みたい】
競合調査・競合との差別化の方法:【WEB広告】競合調査完全ガイド!手順やチェックリストも紹介
心理学を広告クリエイティブに活用する方法:【19選】広告心理学で効果アップ!広告運用に使える心理テクニック完全ガイド
なお、広告クリエイティブの改善にはABテストがおすすめです。ABテストとは、AとBの2パターンの広告クリエイティブを用意し、実際に配信した上でどちらの方が効果があげられるかを検証するテストです。概要や実施方法は以下の記事を参考にしてください。
【ABテストについて詳しくはこちら】【事例あり】広告のABテスト完全ガイド!効果的な手順から活用法まで徹底解説
⑥入札戦略の見直し
CPCを抑制するためには、単純に入札単価を下げれば達成することができます。しかし、単純に入札単価を下げてしまば競合に負けてしまいます。ですので、競合の出稿状況を参考にしつつ入札単価を調整することが必要です。
また、Google広告であれば広告運用の目標毎に入札戦略を設定することができます。例えば予算何でクリック数を最大化したいとなった場合は「クリック数の最大化」を、表示回数を最大化したい場合は「インプレッション単価制」を選ぶなどです。さらに自動入札機能を用いれば、入札戦略に応じて入札価格を最適化してくれます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【入札戦略について詳しくはこちら】
【最新版】Google広告|入札戦略一覧!おすすめの入札戦略や設定方法を紹介
ロジックツリーを広告改善に活用すると際の注意点
ロジックツリーを活用することで、課題の可視化や改善の方向性が明確になるなど、様々なメリットが得られます。一方で、注意点も存在します。最後に、ロジックツリーを広告運用に活用する際の注意点を解説します。
1. ロジックツリーを過信しすぎない
ロジックツリーは万能ではありません。そもそも広告運用には複数の要素が複雑に絡み合うので、ロジックツリーですべての要素や因果関係を単純化できるものではありません。
さらに一度ロジックツリーを設定して満足するのではなく、定期的な見直しが必要です。なぜならマーケティング業界は市場の変化や競合の動向、新しいテクノロジーの登場など、日々めぐるましく変化する業界であるからです。ロジックツリーを過信しすぎず、また定期的な見直しを行うようにしましょう。
2. 複数の要素が影響し合うことを考慮する
1でも述べましたが、広告運用は複数の要素が複雑に絡み合うものです。例えば今回ご紹介したように、広告の掲載順位には、細分化すればLPの質も影響します。ですので一概に「○○をすればCTRが改善する!」とも言えないものです。今回はかなり簡略化されたロジックツリーをご紹介しましので、すべての場合に当てはまらないことをご容赦ください。
3. ロジックツリーで改善策を検討する際は、細分化に注意
ロジックツリーを作成する際は、どんどん要素を細分化し施策に落とし込むという手順を取る場合があると思います。しかし、細分化が十分でないと効果が得られない可能性があります。
例えば「掲載順位を改善する」という要素を細分化しようとなった場合、本来広告順位の改善には入札単価と広告の品質が主に影響します。しかし細分化が不十分で「入札単価が競合に負けている」という要素だけに注目してしまうとどうなるでしょうか。広告の品質が不十分なのに入札単価だけをあげても、掲載順位がなかなか改善しないどころか、広告費もかさんでしまいます。
ですので、ロジックツリーで要素を細分化する際は、細分化が十分か、他にまだ考慮できていない要素がないか確認しましょう。
広告運用にお悩みの際は、広告代理店への依頼がおすすめ!
ここまでロジックツリーを広告運用に活用する方法を解説しましたが、「こんなに複数の要素を分析・改善するリソースがない…」「広告戦略が頭打ちだ…」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方には、広告代理店への依頼がおすすめです。free web hopeは広告クリエイティブの作成や広告運用はもちろん、PR記事やLPの作成まで、webマーケティングに関するあらゆる分野のノウハウ・経験があります。本章では、一例としてPR記事の作成に携わった事例をご紹介します。
目標CV達成率140%超!サービスの認知度向上にも寄与した“筋フルエンサー”記事はどう作られた?
デジタル広告の「制作」から「改善」まで全工程をワンストップで完結させる、デジタルマーケティングプラットフォーム「Squad beyond(スクワッド ビヨンド)」を運営する株式会社SIVA。当社はPR記事のライティングを担当しました。
抱えていた問題
- お客様に適切なベネフィットを伝えるための第三者視点がほしい
- Squad beyondを知らない人にも認知と理解をしてもらう
free web hopeのソリューション
- PR記事の企画
- PR記事制作
- 本サービスを利用した上でのLP制作
- 広告運用戦略の策定
- 広告運用実行支援
- EFO/LPOの設計/実行
- バナーABテスト設計/実行
得られた成果
- 目標CV数達成率 140%超え
- CPAも目標より5,000円以上低くなった
- 会社の知名度が向上
free web hopeを選んでいただいた理由を教えてください。
杉浦様:コミットメントする姿勢と企画力、熱量が他社と違った点を評価しました。数社から提案を受けていましたが、他社は当社サービスへの理解が不足しており、当社の課題を解決すると思えないものもありました。
一方、free web hopeさんは当社サービスのユーザーであり、サービス理解が高く、非常に考えられた提案をいただけました。そして熱意が伝わってきました。
黒須:Squad beyondの現状を踏まえると、お客様にベネフィットを伝えることと、認知獲得が必要であると考え、PR記事6本を制作しました。
エンタメ色の強い企画に決まった背景はなんでしょうか。
杉浦様:Squad beyondを知らない人にも認知と理解をしてもらうために、第三者からの言及が欲しかったからです。
目指している世界観を実現するためには、熱量の高い第三者からの口コミにたくさん触れてもらう必要があります。そのために波及力があり、熱量が高く第三者にしか出来ない企画を求めました。
黒須:通常BtoBプロダクトのPR記事は、いわゆる太鼓持ちな“使ってみた記事”が散見され、そもそも読まれにくいものもあります。
そこで、認知獲得のためのPR記事は、プロダクトの紹介とともに読み物としてのおもしろさにフォーカスしました。
“筋フルエンサー”を起用したのは、そのおもしろさとともにSquad beyondを認知していない広告運用担当者に追体験をしてもらうためです。
運用後、課題は解決されましたか?
定量面は、企画を実施した1ヶ月で「CV:53件|CVR:2.15%|CPA:¥9,562」の実績が出ました。当初想定していたCV数からの達成率は140%を超えています。CPAも目標より5,000円以上低い結果でした。本企画終了後は、納品いただいたLPを再利用して自社でLPを作成・運用していますが、そこからもCVが発生してます。それだけ優れたLPを作成いただけたと感じています。
定性面の効果は、会社の知名度が向上したことです。本企画がSNSでバズったおかげで、社員が「あのSquad beyondの会社で働いているの?」と声を掛けられる機会が増えたようです笑今でもSEOの効果が発生しており、CVした顧客の行動履歴を追うと、黒須さんに書いていただいた記事を閲覧しているのがわかります。
【詳しくはこちら】
目標CV達成率140%超!サービスの認知度向上にも寄与した“筋フルエンサー”記事はどう作られた?
まとめ:ロジックツリーを活用し広告運用の流れを理解しよう
ロジックツリーは、リスティング広告の課題解決に非常に有効なフレームワークです。今回紹介した内容を参考に、ぜひ広告運用にロジックツリーを活用し、成果向上を目指してください。改善施策を実行した後は、効果測定と改善を繰り返すことで、更なる成果アップに繋がります。この記事が広告運用改善のお役に立てれば幸いです。
株式会社free web hope はCX(顧客体験)とデータサイエンスを広告戦略に組み込み事業成長を支援する広告代理店です。
長年の経験で積み上げた独自のフレームワークで、データサイエンスに基づく予測分析と市場調査を行い、「顕在層」だけでなく「準顕在層」にまで視野を広げ戦略的運用を提供しています。
広告運用でお悩みでしたらまずはfree web hopeに!公式HP、左下のボタンからお悩みをお聞かせください。
【free web hopeの広告運用支援実績はこちらから】free web hopeが手掛けた広告運用の支援実績を大公開!
監修者:古瀬純功
free web hopeの広告運用コンサルタントとして、広告運用支援やweb解析、ダッシュボード作成を担当:Xアカウント