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消費者心理をコントロールする7つの心理的価格設定とその事例

    あなたは、商品の価値をどのように判断していますか。商品とその価格を見ても、「そんなものだ」と納得しているでしょうか。消費者は以下の様々な要因によって、商品の価格を相対的に判断しています。 ・あなたにとって価値があるか ・他に比べて機能が充実しているか ・一般的な他の商品に比べて高いか安いか これに対して、相対的に判断をしない・できない価格設定もあります。それが「消費者心理をコントロールする心理的価格設定」です。 価格設定は、マーケティングにおいて一番重要な項目と言っても過言ではありません。 価格設定に関しては、以下の記事でも解説しています。 WEBマーケティングにおける価格の重要性-3つの基本価格設定方法 > では、心理的価格設定とは何なのでしょうか。 消費者心理をうまくコントロールすることで、商品の売上を今の何倍にも伸ばすことが可能かもしれません。本記事では、以下の7つの心理的価格設定を解説していきます。 1.名声価格 2.端数価格 3.段階価格 4.慣習価格 5.均一価格 6.抱き合わせ価格 7.プライスライニング

    1.名声価格

    名声価格は、美術品、宝石、高級ブランド品などの贅沢品や希少価値の高い商品に当てはまりやすいです。価格が高いものは価値があり、価格の低いものは価値が低いと考えられることに準拠しています。 消費者が、商品の正確な価値評価ができない場合(または、世界で一番有名・最古・希少などの背景がある場合)、高い価格をつけた方がかえって名声や商品価値が高まります。

    このような商品の場合、市場がその価値を決める場合と販売者のブランディングによってコントロールする場合の2つに分類されます。

    名声価格の事例

    1960-80年代に、日本のセイコーが世界初のクオーツ腕時計を発売し、市場を牛耳ったことがあります。もちろんスイス時計ブランドは大打撃を受け、同国時計企業の半数が倒産、時計産業の就業者数は1970年の9万人から1984年には3万人まで減少しました。 スイスの時計産業は、長期戦略として高付加価値化を追究し、壊れない時計ではなく、オーバーホール前提の高付加価値ブランド化、いわゆるluxury brand化を図り、世界トップの座に返り咲いたのです。今では逆に日本の時計産業界が窮地に追い込まれています。 例えばブレゲ、ブランパン、ロレックスなどは、誰もが高いことを知っています。もし本気でそれらの時計を買うつもりならば、200万円が250万円になったところで変わりはありません。逆に1万円と言われると、誰もが偽物だと思うことでしょう。そして、日本製の高品質な1万円の時計の200倍機能が優れているわけではないことも、誰もが知っていることです。

    2.端数価格

    2万円、3000円などのキリの良い価格ではなく、それぞれ19,800円、2,980円のように端数にすることで、価格差以上に安いイメージを植え付ける価格設定のことを言います。端数価格であれば例え価値に差がなくてもそちらを選んでしまうことが起こります。

    端数価格の事例

    端数価格を一番良く目にするのはスーパーです。98円や198円などの端数価格が当たり前となっています。端数価格はこのような日々消費する商品に向いています。想像してみるとわかりやすいですが、98グラムで98円の肉と100グラムで100円の肉が並んでいた場合、なんとなく98グラムで98円の肉を買ってしまうことはあると思います。 どちらも1グラム1円に変わりはないのだが、端数価格を設定された方が消費者に与える心理的影響は大きくなるのです。

    3.段階価格

    人は多くが普通の価格を選択します。 低価格品、通常価格品、高級品というように多段階の値段設定をすることで、安くもなく高くもない通常価格品を購入してしまうという心理を利用しています。これは以前、フレーミング効果の話でも取り上げています。

    行動経済学「フレーミング効果」で売上を劇的に上げる方法

    日本では松竹梅で価格設定が分けられることが多いため、松竹梅の法則よばれることもあり、その場合の購入割合はおおよそ、3:5:2にわかれると定説付けられています。

    段階価格の事例

    例えば、フレーミング効果の記事でも触れた「オリジン弁当」の事例では、2012年9月、当時1種類だった幕の内弁当を、450円の幕の内弁当、490円の上幕の内弁当、690円の特上幕の内弁当の3種類に増やした。これにより「490円の上幕の内弁当」が一番売れ、幕の内弁当の売上は前年同月に比べ78%増となったというもの。 行動経済学でも有名になった「極端の回避性」により、人は真ん中の価格を選んでしまう傾向があるというのは広く知られており、様々な業種の様々な商品に活用されています。

    4.慣習価格

    世の中には価格が決まっていると刷り込まれた商品があります。 その業界において習慣的に設定されてきた価格帯がある場合に、それに倣って決められる価格のことを言います。

    慣習価格の事例

    自動販売機のジュースやタバコ、コンビニにおかれた商品のように、消費者の意識の中にほぼ定着している価格は全て慣習価格に当てはまります。嗜好性が高く、瞬間的な需要がある商品ほど慣習価格が当てはまるため、価格を安価にして販売数を伸ばす行為は難しいでしょう。

    5.均一価格

    安価均一であれば、必要性の薄いものまで購入してしまいます。 均一した価格設定をすることで、消費者に選択肢を与えない価格設定を均一価格といいます。100円ショップなどは、一見非常にわかりやすい価格が設定されているが、商品価格と商品価値を比較した場合、合理的な判断が難しくなりますよね。 例えば、ポケット付きのファイルを買うとして、ひとつは22枚のポケットがついていて260円。もうひとつは8枚のポケットがついていて100円。どちらが得か瞬時に判断できなくなってしまうのです。

    均一価格の事例

    100円ショップはバブル崩壊後に急成長した業態ですが、そのビジネスモデルは単純で、安く仕入れて100円で売るというものです。利益が取れるからといって、様々な価格を設定すると2つの不利益が発生します。 ・商品管理が煩雑になる ・100円均一という消費者心理が崩れる可能性がある 安価な商品を取り扱うほど販売数当たりの利益は低くなるため、商品管理は単純にして運用コストを下げる必要性があります。また、どれを買っても100円なので安心感があるという消費者心理を崩すと一気に売上が下がってしまいます。均一価格は安心感を需要に繋げるための価格設定ということなのです。

    6.抱き合わせ価格

    抱き合わせ価格とは、ある商品と違う商品をセットで購入すると価格が安くなるように設定された価格のことです。セットで安くなると合理的な判断が薄れてしまいます。もちろん商売側の意図としては、購入されやすいが利益の薄い商品と、購入されにくいが利益の高い商品を抱き合わせ価格にすることで、販売数と利益を確保することが目的です。

    抱き合わせ価格の事例

    マクドナルドに行くと今では当たり前になったセット商品ですが、1987年(昭和62年)ハンバーガーとドリンクSとポテトSをセットで頼むと520円が390円になる「サンキューセット」を発売し大ヒットしました。 知っている方も多いと思うが、マクドナルドはドリンクやポテトで利益を確保しているため、それらが売れれば多少の値下げは全く問題がないのです。それよりも、普段テイクアウトして、飲み物は家で飲むという層を取り込めたほうが圧倒的に大きいということになる。ちなみにサンキューセットはその年の流行語大賞も受賞しています。

    7.プライスライニング

    義務感や慣習には予算感覚で商品が選択されます。
    お歳暮やお中元等の慣習において、ある程度価格が決められている商品が存在する。2000円、3000円、5000円の様に予算に合わせた商品ラインナップを用意することで、層に合わせた購入を促す商品価格設定をプライスライニングと呼ぶ。

    プライスライニングの事例

    お歳暮やお中元は古くは中国から伝わったもので、先祖の霊を祀るための供物としてわけあったことに由来するそうです。そしてこの習慣を利用して、百貨店などがお世話になった人に感謝とお礼の気持ちを込めて贈り物をしあうようになりました。 感謝やお礼の気持に金額はつけづらいものであるため、誰かが指標を決めてくれた方が非常に楽になります。それが、2000円、3000円、5000円等の価格帯で設定されています。お中元、お歳暮のコーナーが作られ、2000円、3000円、5000円で商品価格が設定されている場合、わざわざ1500円の商品を他で選択する可能性は薄くなります。

    心理的価格設定のまとめ

    このように、心理的価格は相対的な損得とはあまり関係がない、または損得がぼかされてしまっている価格です。もしあなたが扱っている商品がこの心理的価格に当てはまるようであれば、これらの価格設定法に基いて価格設定を行うことをおすすめします。 そして、これらの消費者心理から外れるものに関しては、商品特性やビジネスの特徴を大いに活かした戦略を取るために、あなたの商品、商売のUSPをしっかりと見極めてマーケティング施策をとることがおすすめです。 USPに関しては、以下の記事がで詳しくご覧ください。

    WEBマーケティングを真剣に考えるためのUSP設定方法

    監修者:古瀬純功

    free web hopeの広告運用コンサルタントとして、広告運用支援やweb解析、ダッシュボード作成を担当:Xアカウント

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