Google広告オーディエンスターゲティングとは?
Google広告におけるオーディエンスターゲティングとは、「特定のユーザー層に向けて広告を表示する配信手法」です。「検索履歴」、「属性」、「行動履歴」などを含むユーザーデータをもとに、特定のユーザー層にピンポイントに広告を配信できるのがオーディエンスターゲティングの強みです。
特定のユーザー層にターゲティングすることで、すでに購買意欲のある「顕在層」はともかく、これから顧客になりそうな「潜在層」にまで届けることができます。なお、Google広告においては、細かくオーディエンスを設定できるので、自社の広告目的やニーズに合わせて設定しましょう。
Googleオーディエンスターゲティングの仕組み
Google広告のオーディエンスターゲティングの仕組みはシンプルで、Googleがユーザーのインターネット上での行動をデータ化し、膨大なデータからターゲット層を絞り込んで広告配信をします。
また、Googleは以下のようなユーザー情報をリアルタイムで収集しています。
- ウェブサイトの行動履歴
- 検索履歴
- 位置情報
- 使用デバイスやブラウザ情報
- SNSでの行動
Googleオーディエンスターゲティングの種類
Google広告において、ターゲティング可能なオーディエンスは大きく次の2つに分類されます。
- オーディエンスセグメント: 広告主がターゲティングしたい特定の興味や行動に基づくユーザーグループ。
- データセグメント: 自社データ(例: 顧客リストやサイト訪問者データ)を活用して作成されるオーディエンス。
以下で詳しく解説していきます。
オーディエンスセグメント
参考:オーディエンス マネージャーのオーディエンス セグメントについてーGoogle広告ヘルプ
参考:オーディエンス セグメントについてーGoogle広告ヘルプ
オーディエンスとセグメントの違いは?
「オーディエンス」と「セグメント」はしばしば混同されることがありますが、厳密には異なる意味合いを持っています。「オーディエンス」は広告を配信したい対象となるユーザー全体のことを指し、「セグメント」はオーディエンスをさらに細かく分割したグループのことです。
Google広告において、特徴に応じて設定されたオーディエンスグループのことを「オーディエンスセグメント」と呼びます。オーディエンスセグメントは一つに絞ることもできれば、複数のオーディエンスセグメントを組み合わせて使用することもできます。ちなみに、以下のようなユーザーの場合、複数のオーディエンスセグメントを組み合わせて使用した方が効果的になるでしょう。
- ユーザー属性:20代後半女性
- ライフイベント:親しい友達が出産した
- アフィニティセグメント:出産祝いのプレゼントや新生児服について検索しサイトを訪れている
細かく設定されたオーディエンスセグメントを組み合わせて使用することで、「コンバージョンに至る可能性の高い層」を狙えます。ちなみに、複数のセグメントを組み合わせることを「組み合わせセグメント(組み合わせオーディエンス)」と呼びます。ただ、セグメントを組み合わせ過ぎてしまうと、広告の配信対象者が限られてしまうので注意してください。
リターゲティング(リマーケティング)との違い
しばしば「オーディエンスターゲティングとリターゲティングの違いは?」という質問を見かけるので、ここで紹介しておきます。
結論から言いますと、リターゲティングはオーディエンスターゲティングにおける、セグメントの一種です。ただ、厳密にはそれぞれ異なる意義を持っています。オーディエンスターゲティングは、「新規顧客」や「潜在顧客」をターゲットにしたターゲティング手法で、リターゲティングは「購入見込みのある顕在層」へのアプローチを目的としたターゲティング手法です。少しの認識の違いが誤ったターゲティングへとつながる場合があるので、ここで覚えていきましょう。
【関連記事】
リマーケティング(リマケ)広告の効果とは?リターゲティングとの違いは?
データセグメント
Google広告では広告主様が保有するデータからセグメントを設定することができ、「データセグメント」や「広告主様のデータ」と呼ばれます。
Google広告において、データセグメントで活用できるオーディエンスセグメントは以下です。
- ウェブサイトを訪れたユーザー
- アプリユーザー:デバイスに広告主のアプリをインストールした人
- YouTubeユーザー:動画広告を表示または操作した人
- 顧客セグメント:メールアドレスや電話番号などの顧客情報に当てはまる人
- リードフォームセグメント:Google広告でリードフォームを送信した人
- 電話をかけてきたユーザー:広告主のビジネスに電話をかけてきた人
または、データセグメントでは以下のキャンペーンタイプで利用可能です。
- デマンド ジェネレーション
- ディスプレイ
- 検索
- ホテル
- 動画
- 通常のショッピングキャンペーン
参考:オーディエンス マネージャーのオーディエンス セグメントについて
オーディエンスターゲティングのメリット
Google広告オーディエンスターゲティングの活用メリットはいくつかありますが、特に以下のメリットが大切です。
- 効果的な広告配信
- 費用対効果を高められる
- エンゲージメントの向上
1. 効果的な広告配信
オーディエンスターゲティングは、「特定のユーザー」に対して配信します。マスメディアやSEOとは異なり、ユーザーの興味や行動に基づいて広告を配信できます。そのため、例えば、購買意欲が高いユーザーや特定の商品に関心を示したユーザーにだけ広告を表示することで、ターゲットの精度を高めることができます。
【関連記事】
2. 費用対効果を高められる
オーディエンスターゲティングは、広告による費用対効果(ROI)を高めることができます。理由は、オーディエンスターゲティングにより、広告が「買う可能性が低い層」ではなく「購入やコンバージョンの可能性が高い層」に表示されるため、無駄なクリックやインプレッションを抑えることができるからです。
Google広告において、オーディエンスターゲティングを利用することで、効果的な予算配分も可能になります。たとえば、リマーケティングを活用して、過去に自社サイトを訪問したが購入には至らなかったユーザーに広告を再表示することで、購買意欲の高い層にフォーカスできます。よって、リーチしたいターゲット層に対して適切に予算を割り当てることができます。
【関連記事】
WEB広告の費用対効果を最大化する!ROASの計算・活用方法
3. エンゲージメントの向上
オーディエンスターゲティングは、広告の関連性を高め、ユーザーのエンゲージメント(関心度)を向上させることができます。ユーザーにとって関連性が高い広告が表示されると、ユーザーは「自分に関係がある」と感じられやすいため、ユーザーから自然と関心を得られやすくなります。
このように、オーディエンスセグメントを設定してターゲティングする広告のことを「パーソナライズド広告」と言います。
【関連記事】
【イラスト解説】Googleパーソナライズド広告とは?活用ポイントや注意点
オーディエンスターゲティングのデメリット
一方で、オーディエンスターゲティングを使用するにあたり、以下のようなデメリットも上げられます。
- プライバシーに関する懸念
- データ依存による偏り
1. プライバシーに関する懸念
オーディエンスターゲティングの実施には、ユーザーの個人情報や行動データの収集が必要不可欠です。そのため、ユーザーのプライバシー保護に対する懸念が高まります。
現代では、個人データの取り扱いに対してユーザーが敏感になっており、プライバシー保護が重要な課題となっています。オーディエンスターゲティングは、ユーザーのウェブサイト閲覧履歴や検索履歴、位置情報など、多岐にわたるデータを収集し分析することで広告を配信しています。そのため、ユーザーの興味・関心に合わせて広告を出すための有効な手段でありますが、一方で「監視されている」と感じさせてしまうリスクもあります。
また、最近は「プライバシーサンドボックス」の懸念があります。「プライバシーサンドボックス」とはGoogle社が提供する、ユーザーのプライバシー保護を強化と広告効果の最大化の両立を目指す、業界全体の取り組みです。軽く説明すると、プライバシーサンドボックスのような技術の導入により、ターゲティング精度が下がる可能性もあり、従来のオーディエンスターゲティングと比較して広告の成果が低下する懸念もあります。「じゃあこれからどう対応していけばいいの?」「これからの広告運用戦略について、プロに相談したい、、」という方は、広告代理店への相談も一度検討してみることをオススメします。
free web hopeでは、LP~LPO・広告運用まで、デジタルサイエンスに基づき独自のフレームワークでサービスを提供しています。少しでも自社広告に関してお悩みがありましたら、弊社にご相談ください。→お問い合わせ
参考:プライバシーサンドボックスとはーPrivacy Sandbox
2. データ依存による偏り
オーディエンスターゲティングは、データを基にパーソナライズされた広告を配信できる一方、データ依存によって偏りが生じる場合があります。誤った、もしくは偏ったデータを使用し広告配信を行うと、広告配信だけでなくブランドイメージにもマイナスな影響を与えてしまう可能性があるので注意しましょう。
オーディエンスターゲティングの設定方法
さて、概要を学んだあとは、実際にGoogle広告の管理画面でオーディエンスターゲティング設定をしていきましょう。
今回は、ディスプレイキャンペーンを例として紹介していきます。
オーディエンスターゲティング設定方法
まずGoogle 広告の管理画面で、[キャンペーン] を選択します。[オーディエンス、キーワード、コンテンツ] プルダウンをクリックして、[オーディエンス]を選択しましょう。
[オーディエンス セグメントの編集] をクリックし、[広告グループ] をクリックして、ターゲティング設定を行いたいキャンペーン、または広告グループを選択します。
[オーディエンスセグメントを追加]をクリックすると以下の画面が表示されます。 [ターゲティング]に設定を変更し、「検索」のタブをクリックすると、 セグメント候補が表示されるため、選択したいセグメントのチェックボックスにチェックを入れましょう。チェックを入れたら、右側にセグメント名が表示されていることを確認します。
「検索」でセグメントの設定が一通り完了したら、「閲覧」タブをクリックし、他にセグメントにできそうなものを設定します。設定が終わったら、「保存」をクリックし設定完了です。
カスタムセグメントの設定方法
次に、カスタムセグメントの設定方法を紹介します。
カスタムセグメントの作成は広告管理画面とオーディエンスマネジャーより行えますが、今回は広告管理画面からの設定方法を紹介します。上記の設定と同じ画面を開き「閲覧」タブを選択し、「カスタムセグメント」をクリック。『+』からカスタムセグメントをもう一度クリックすると、以下の画面が表示されます。全ての項目で設定し終えたら、「保存」をクリックし、カスタムセグメントの作成が完了します。
セグメント名
セグメントの名称を設定します
ターゲティング方法
ターゲティング方法は広告目的に沿って、以下のいずれかを選択しましょう。
- Googleでこれらの興味/関心や購買意向を持つユーザー
- Googleでこれらのいずれかのキーワードを検索したユーザー
特定の種類のウェブサイトを閲覧するユーザー
こちらの設定は任意ですが、多くのターゲットユーザーがよく閲覧しているであろうWebサイトがわかる場合は、クリックします。ウィンドウが表示されたら、WebサイトのURLを追加しましょう。
特定の種類のアプリを使用するユーザー
こちらの設定も任意ですが、多くのターゲットユーザーがよく閲覧しているであろうアプリがわかる場合は、クリックします。ウィンドウが表示されたら、アプリを追加しましょう。
Googleオーディエンスターゲティングを活用する際の注意点とコツ
- 訪問者が100人or1000人以下の場合は使用しない
- 「誰に」向けた広告なのかを明確にする
- ユーザーの購買行動を参考に考える
- オーディエンスターゲティング以外のターゲティング手法も活用する
- フリークエンシーキャップを設定する
1. 訪問者が1000人以下の場合は使用しない
現在公開している広告への訪問者数が1000人未満の場合は、オーディエンスターゲティングを設定しないことをオススメします。訪問者数が1000人未満の場合でターゲティングをしても、変化が起こりにくいどころか、訪問者が減ってしまう可能性があるからです。まずは、オーディエンスサイズを適正化し、十分な規模に達してから活用しましょう。
2. ターゲットオーディエンスのペルソナを明確にする
オーディエンスターゲティングを成功させるためには、「誰に向けた広告なのか」を明確にしてください。ターゲットが曖昧だと、本来広告が届くべきユーザーに届かないだけでなく、広告のメッセージが一貫しない可能性があります。例えば、既存顧客のリピート購入促進と新規顧客獲得のキャンペーンでは、それぞれ異なる広告戦略とメッセージが必要です。ですので、まずはターゲットとなるオーディエンスのペルソナ設定を明確にしましょう。
3. ユーザーの購買行動の理解とセグメント化する
オーディエンスターゲティングを行う上で忘れてはいけないのが、ユーザーの購買行動への理解です。
「AISAS」という購買行動モデルを耳にしたことがあるでしょうか。
- Attention:認知ーユーザーが広告や情報に触れ、存在を知る
- Interest:興味・関心ーユーザーが興味を持ち、詳細を知りたくなる
- Search:検索ー製品やサービスについてさらに調べる
- Action:行動ー購入や申し込み
- Share:共有ー経験をSNSなどでシェアする
オーディエンスターゲティングは「ユーザーの行動」をもとに行うターゲティング手法ですので、「ユーザーがどのような行動をとるか」を理解した上でセグメントを設定する必要があります。
以下の図を参考に、ユーザーの行動段階をもとにしてセグメントを設定しましょう。
4. フリークエンシーキャップを設定する
フリークエンシーキャップ(Frequency Cap)とは、ユーザーに対して広告が表示される回数の上限を設定する機能です。同じユーザーに同じ広告が何度も表示してしまうと、ユーザーから「またこの広告かよ」と嫌悪感を抱かれてしまいます。フリークエンシーキャップを設定して、広告の表示回数をコントロールしましょう。
5. オーディエンスターゲティング以外のGoogleターゲティング手法も活用する
オーディエンスターゲティングはユーザーデータを基にターゲティングできて広告成果を上げることはできますが、他のGoogleターゲティング手法(例:コンテンツターゲティングやプレースメントターゲティング)を組み合わせることで、幅広くアプローチできます。ターゲティング手法を組み合わせることで、特定のセグメントに限定されることなく、複数のチャネルや視点からターゲットにリーチできます。
オーディエンスターゲティング以外のターゲティング手法を以下で説明していますので、ご参考ください。
Googleオーディエンスターゲティングと他のGoogleターゲティング手法との違い
最後に、オーディエンスターゲティングと他のターゲティング手法との違いを紹介していきます。
Googleオーディエンスターゲティングと併用することで、さらに広告効果を上げることができるGoogleのターゲティング手法は以下の3つです。
- コンテンツターゲティング
- トピックターゲティング
- プレースメントターゲティング
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは、Webページが含む「キーワード」に基づいて広告を表示するターゲティング手法です。Googleは数百万とあるWebページのコンテンツを分析し、メインテーマを設定しています。その「メインテーマ(キーワード)」を指定することで、自社広告の内容と関係のある配信面に広告を表示させることができます。
参考:コンテンツ ターゲットーGoogle広告ヘルプ
プレースメントターゲティング
プレースメントターゲティングでは、YouTube や Googleディスプレイネットワークを利用し、特定のWebサイト、サイト内の特定のページ、アプリ、動画コンテンツ等を指定して広告を表示できます。ターゲットユーザーが利用するサイトやアプリがわかっている場合は、プレースメントとして指定して広告表示することができます。
【関連記事】
【プレースメントターゲティングとは?】特徴や設定方法、活用方法まで解説
トピックターゲティング
トピックターゲティングは、ターゲットの「トピック(カテゴリ)」を指定して関連するWebページ、アプリなどに広告を掲載できます。Googleトピックターゲットを設定すると、Webサイト、アプリ等を含むGoogleディスプレイネットワーク・Youtube等に広告を表示することができます。たとえば、「スポーツ」「旅行」「テクノロジー」など特定のトピックを選ぶことで、関連するテーマのWebページ上で自社広告を表示できます。これにより、広範囲にアプローチしつつ、広告内容と関連する分野のユーザーにリーチしやすくなり、より効果的にターゲット層に訴求できます。
参考:トピック ターゲットについてーGoogle広告ヘルプ
参考:広告のターゲット設定ーGoogle広告ヘルプ
【Googleのターゲティングについてもっと知る】
【2024年最新】Google広告のターゲティング種類一覧と設定方法を徹底解説!
まとめ:正しいターゲティングで正しいオーディエンスへ広告を届ける
今回は「オーディエンスターゲティング」について紹介しました。ぜひ今後の広告運用にお役立てくださると幸いです。
本記事で学んだこと;
- Google広告オーディエンスターゲティングとは何か
- Google広告オーディエンスターゲティングの種類
- オーディエンスセグメントの種類
- データセグメントの種類
- オーディエンスターゲティングの始め方
- Googleオーディエンスターゲティングを使用する際の注意点
- Googleオーディエンスターゲティングと他のGoogleターゲティング手法との違い
弊社はCX(顧客体験)とデータサイエンスを広告戦略に組み込み事業成長を支援する広告代理店です。長年の経験で積み上げた独自のフレームワークで、データサイエンスに基づく予測分析と市場調査を行った上での、戦略的な広告運用サービスを提供しています。
広告運用でお悩みでしたらfree web hopeへ気軽にご相談ください。公式HP、左下のボタンからお問い合わせいただけます。共に成長していけるパートナーシップで、次なるビジネス成長への一歩を踏み出しましょう。
【free web hopeの広告運用支援実績はこちらから】free web hopeが手掛けた広告運用の支援実績を大公開!
監修者:古瀬純功
free web hopeの広告運用コンサルタントとして、広告運用支援やweb解析、ダッシュボード作成を担当:Xアカウント